●圧倒的な価値を創る技術「ゲシュタルトメーカー」 苫米地英人
日本が元来得意であったはずの「ゲシュタルト」能力
それは抽象的思考から価値を創造すること
工学が得意な日本は、その能力がゆえに、自動車などの分野で欧米よりも後発でありながら、欧米を凌駕するほどの価値を創造し、成功を納めてきた・・・
そんな日本は、現在ちまたで言われているように危機的な状況なのか?
その辺を苫米地博士独特の言い回しで解説しつつ、ゲシュタルト能力を養う為の方法を提案してくれます。
●ゲシュタルトとは?
そもそもゲシュタルトとはなんでしょう?
苫米地博士の著書で頻繁に出てくる用語ですが、一般的に使われる言葉ではありませんよね。
元々は心理学用語っぽいのですが、超簡単に私の理解で言うと、
「全体感」
みたいな感じではないかと思います。
例えば、文字は、線や点の集合として構成されていますが、部分で見ればただの線や点で、意味をなしません。
しかし、それが文字として全体を形成すると意味を成すことができます。
私たちの脳には文字のゲシュタルトが出来ているので、文字を線や点で認識せずに、文字として認識しています。
でも、ふとした瞬間に文字としてのゲシュタルトが一時的に壊れて、部分としての線や点としてしか認識できなくなり、全体の文字感が掴めなくなり、どうやって書くのかわからなくなる時がありませんか?
そういう現象をゲシュタルト崩壊というらしいのです。
つまり、ゲシュタルト能力というのは、いかに部分の集合を全体として捉えられるか?という能力というわけです。
そして、その部分が、一見関係ないと思われるもの同士であっても、ゲシュタルト能力が高ければ、一つの全体として捉えることができ、新たな価値を見出せるのです。
日本は、欧米が得意な科学で培われた様々な理論を繋ぎ合わせて、工学に応用し、新たな価値を創造することで世界と戦ってきたわけです。
●40歳までは就職するな
まさに今の自分の年齢です・・・。
もし、学生の時にこのように言われたらどうだったんだろう?
なんて考えたりしますが、著者の意図は
ゲシュタルト能力を訓練する為には、大学院で博士号をとるくらいまで勉強する(=知識を得る)必要があるということです
一見関係のない点と点を結び付ける為には、その為の素養が必要なのでしょう。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズはこんな言葉でそれを表しています
「Connecting the dots」
そう、まさに点と点を結び付けるという事ですね
さて、自分が今から大学で勉強するほどの行動力があるのかは置いておいて、少なくとも、2年前程前には興味も持っていなかった分野に対して興味を持つようになり、本を読み、知識を増やすことで多少はゲシュタルト能力が上がっていると自分に期待しています。
また、こういう考えを持つことで、仕事をしながらでも、今までは視えなかったチャンスが視えるようになったと思います。
具体例で言えば、会社で、ある研修の案内が来たのですが、今までであれば受講することを考えもしなかった内容なのに、今回は、必要性を感じて、自ら受講を希望しました。
人それぞれの置かれた環境によってゲシュタルト能力を上げる手段は違うと思うので、自分に都合のいいように捉えて、結果、新たな価値を創造できる人間になれることを夢みています。
このブログも、もしかしたらその一つかも?
●円高でもトヨタは損をしない?
最後に、気になる事が書かれていたので紹介します。
え?!
だって、円高になったらトヨタをはじめとする輸出企業は大打撃を受けるなんてニュースはしょっちゅう耳にしますよね。
苫米地博士曰く
確かに国内原価は円高で上がるが、海外原価(例えば、港からユーザーに届くまでの流通費用)は下がるわけだから、相殺されて損はしない。
トヨタみたいな大企業の財務担当が、これくらいの為替リスクヘッジをしていないなんて考えられない。とのことでした。
確かに、言われてみればそうなんですけど、海外原価の全体の原価に占める割合が少なければやっぱり損しそうな気が・・・。
これから、こういうニュースが流れたら注意深く読む必要がありそうです。
さて、いかがだったでしょうか?
この本に書かれていることをすぐ実行できる人はなかなかいないと思います。
でも、「ゲシュタルト」に関しては、すごく理解できる概念で、色々な場面や分野で適用できるものではないでしょうか?